Journey On

教育のこと、世界のこと、自分のこと、日々思うことあれこれ

2021夏 ブログマラソン① 【概念型探究と私】

この夏のチャレンジとして、1週間のブログマラソンをスタートします!

この7年間探究に取り組んできたことをまとめてみたら?と声をかけていただくことが増えました。とりあえず、やってみよう!ということで、まず1日目。

 

【概念型探究と私】

 

ここ数年、本当に多くの場面で「探究」という言葉を見かけることが増えました。もちろん、教育とは関係のない文脈の中でも。

社会人になってから通信教育で教員免許を取得した私は、「専門は何ですか?」と聞かれてどう答えていいのかよくわからない時期がありました。それを曲がりなりにも「うーん、探究でしょうか。。。」と答えるようになった今、探究と私について改めて振り返ってみたいと思います。

 

「たんきゅう」と聞いて、みなさんはどんなことを思い浮かべますか?

探究と探求の違いにはじまって、実に様々な意味や方法、スタイルを内包している言葉ですよね。特に、教員向けのワークショップなどでは、それぞれが違う土台の上に立って「たんきゅう」について語っているなぁと感じることがよくあります。

私の中でも探究は複数の意味をもっています。探究とは生き方そのものだと思うし、人間は生まれながらにして探究的な生き物だとも思います。ただ、今回のブログマラソンでは、「概念型探究」という(学校教育の中での)学びのアプローチに限定して話を進めていく予定です。

(「概念型探究」とはなんぞや・・・については、次回!)

 

私が「概念型探究」と出逢ったのは、教師になって2年目の終わりの頃だったと思います。正確には、そのときに出逢ったのは、国際バカロレア初等教育プログラム(PYP)でした。もともと、自己流で合科型の授業をしていた私にとって、PYPのカリキュラムや単元構成はとても魅力的に感じられました。枠組みはしっかりしているけれど、コンテンツは自由自在。すぐに、見様見真似で授業に取り入れ始めました。

試行錯誤を繰り返していく中でいろいろな参考文献にあたっていると、実は「概念型カリキュラム」(Concept-Based Curriculum)とは留学していた学生時代に付き合いがあったことがわかりました。あの時の、異国の地で同郷出身者に出会ったかのような不思議な感覚!(笑)と、同時に、あーこれはやっぱりきちんと系統的に学ばないと!!と次の目標が見えてきました。

 

ところが、その当時、国内にはPYPについて学べる大学院のプログラムがまだなくて、結局は一度離職して進学することとなりました。まぁ、この大学院生活がいろいろと紆余曲折があり、学部生の頃の留学とは全く様子が違って。。。現場を離れて研究にエネルギーを費やせたり、アメリカ国内だけでなくヨーロッパの学校を見て周ることができたりと貴重な経験もたくさんあったのですが、無事に卒業するまではなかなか大変でした。

でも、今思い返すと、このときに私がやっていたことは、まさに探究の個人プロジェクトだったんだろうなー。学部生の頃は、やっぱり、まだまだ大人(教授陣やスタッフ)が手を貸してくれる guided inquiry だったけれど、大学院生は本当に放っておかれるからこその open inquiry という感じ。スキルを身につけることの重要性を改めて認識したのもこのタイミングだったのかもしれません。探究によって、道が切り拓かれるということを身をもって体感できたことは、その後子どもたちと探究を展開していく上で、とても大きな財産だったのだと強く実感しています。

 

そして、ありがたいことに、PYPの導入を考えている学校で教壇に戻ることができて、そこからは、概念型探究の実践に奮闘する日々が何年も続きました。単純計算で1年に300時間以上の「探究の時間」を重ねていくと、大人も子どもも、否が応でも力はつきます。どうしていいのかわからないことは、たくさんありましたが、毎回の「探究の時間」にとてもわくわくしていました。子どもたちの大きな成長を目の当たりにすることがすごく嬉しかった!何より、みんなで試行錯誤することが楽しいんです!!!

 

IB(国際バカロレア)では、様々な研修の機会が用意されているので、本人にその気があればいくらでも教師としての力を磨くことができます。果てしなく広がる(ように見える)修行の道は、大きなポテンシャルの証のようで、無我夢中で学んでいました。誰彼なく捕まえて、探究について力説していた傍迷惑な時期もありました。。。(笑)

 

その熱が少し治まった頃には、「探究の時間」は私の教育実践にとって、特別な存在ではなくなっていました。日常の風景として、いつでもそこにある。そんな空気の中で、私の役割は徐々に授業実践からカリキュラムデザインへとシフトしていくことになったのです。

そして、そこでまた一つの壁にぶつかりました。私にとっては、わくわくの宝庫でしかなかった「探究の時間」の設計や実践は、ある種の教員にとっては苦しみでしかない・・・。私は、そういう教員や経験の浅い教員へのサポートに頭を悩ませました。適性や資質が関係しているんだろうか?そのクラスの子どもたちへのサポートと教員へのサポートが乖離してしまう。。。いろいろと試していく中で、「概念型のカリキュラムと指導」公認トレーナー養成講座を受講することを決めました。(↓来期の案内はこちら!)

 

retreats.professionallearninginternational.com

 

〈自分の実践を磨く〉から〈他者へのサポート方法を学ぶ〉ことへの転換期。約1年間に及ぶこのオンライン講座もようやく終わりが見えてきた今、概念型探究の魅力を伝えることにかけてはちょっとした自信があります!この1年間で多くの「概念型探究ビギナー」の授業設計をサポートできたことに、子どもたちとの充実した探究の時間とは違った種類の達成感を味わってもいます。

 

これからどんな教育実践を重ねていくとしても、またどんな立場で教育に関わっていくとしても、私にとって概念型探究が大きな核であり続けることは変わらないだろうなぁ。それが、今の率直な気持ちです。

 

 

明日2日目は、【概念型探究と学級づくり】をお届けします!