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2021夏 ブログマラソン② 【概念型探究と学級づくり】

【概念型探究と学級づくり】

 

ブログマラソン3日目の今日は、探究型概念と学級づくりの関係についてお話しします。

私はここ5〜6年間、これと言って学級づくりのための取り組みをしていません。探究の時間が教育活動の核となっていて、特別な取り組みをする必要性をあまり感じなくなったというのが正直なところでしょうか。もちろん、時間的な制約があって取捨選択していることも事実ですが。なぜ、学級づくりのための取り組みの優先順位が下がったのか?

公立小での経験と探究に取り組み始めてからの学級の様子を振り返ってみると、「概念型探究」がもたらすプラスの影響は次の3点に集約できるのではないかと思います。これは、どのような「たんきゅう」でも起こることではなく、概念について学ぶことがもつ強みだと私は考えています。

 

①学級の共通言語や価値観の形成

②学校にいる時間すべてが地続きの学び

③多様性は強みであることへの実感

 

それでは、一つずつ見ていきましょう。

 

 

①学級の共通言語や価値観の形成

 

前回お伝えしたように、概念型探究では様々な活動を通して、

 ある概念に対する理解を広げたり、深めたりしながら、自分自身でその概念の意味を構築していく

ことを目指します。 普段、何気なく使っている言葉も、初めて聞いたような言葉も、同じようにそれって本当はどういう意味なんだろう?その言葉にはどんなことが含まれているんだろう?ということを繰り返し考えていきます。その概念について、自分で、そして学級のみんなで紐解いていくわけです。

例えば、「自由」。子どもたちは、何かにつけ「自由がいい!」と言うことがありませんか?そういう時に、「自由と好き勝手は違います。」というような話をされたことがある方は少なくないのではないでしょうか。

概念型探究で「自由」を取り扱うと、そんなことを教師である私が言う場面はなくなります。本当の自由とは何なのか。自由ではないとはどう言うことなのか。自由の価値とは何か。ああでもない、こうでもないと意見を交わす中で、その学級なりの「自由」に対する定義と価値観が形づくられていきます。実際の体験や交流を通して、自分で意味をつくりだそうとしているので、子どもたちの記憶に刻み込まれます。他の経験や新しい文脈と結びつけることも軽々とやっているように見えます。

そう言う共通言語を積み重ねていくことそのものが、その学級独自の文化となり、そして、豊かな語彙は、豊かな対話を生み出すことにつながるのだと実感しています。

 

自由についての探究は、2年前にこちらにも書きました。

 

norainnorainbows1718.hatenablog.jp

 

 

 

②学校にいる時間すべてが地続きの学び

 

探究の時間が教科融合型の学習であることは、子どもたちも理解しています。それなので、他の教科の時間にも、その時、または以前にやったことのある探究について言及する場面が頻繁に見られます。概念は、時や場所に限定されません。だからこそ、子どもたちは、学校にいるすべての時間を通して、その概念について学び続けています。もちろん、大半の子どもたちには、学び続けているという意識すらないのかもしれません。

ただただ、その概念に対するアンテナが高く伸びているだけなのです。そして、見るもの、聞くものすべてにピピッと敏感に反応する。。。

朝礼での校長先生のお話を聞いていて、その時の探究と関連している概念が出てくると、クラスの大半の子の頭が同じ瞬間にふっと動く様子はとても微笑ましいものです。休み時間の誰かの発言に反応したり、校内の掲示物について知らせてくれたり。もちろん、学校の外でもアンテナは高感度抜群です。

こうなってくると、自然な一体感が生まれます。決まった答えがあるわけではないと、よーく分かっているからこそ、クラスのみんなが探検のパートナーです。もちろん、私が答えを持っていないことも知っているから、担任も含めたチーム。さらに、探究に終わりはない。必要に応じて、協力したり、手を貸したり、意見を戦わせたりします。一致団結!!というような強さはないかもしれませんが、だからこそイベント限定ではなく、毎日の営みの中で形を変えながらつながっていられるのかなと思います。

 

 

③多様性は強みであることへの実感

 

子どもたちは、探究の時間においてとにかく考えること、意味を創り出すことを繰り返し要求されます。概念を多角的に見て、立体的に構築していくときに、自分と同じ考えや意見ははっきり言ってあまり役に立ちません。もちろん、はじめの頃は、子どもたちも他の人が同じように考えていることが安心につながっていたでしょうし、人と違った意見を言いたがらない子もいました。でも、誰かの考えに触発されて新たな考えが浮かんでくるという経験や、いつもとは違った切り口から見たことが意味の構築に役立つという経験を何度も繰り返すことで、徐々に多様性がもつ強みを実感していきます。

また、誰も(担任の私でさえ)確かな答えがわかっていない学びに向かっていることで、わからないと率直に言えるようになります。「わからないことが出発点。」「難しいからこそ面白い。」どちらも探究の時間に子どもたちがよく口にする言葉です。

探究のテーマや取り扱う概念によって、活躍する子が変わることもよくあります。アイディアはたくさん出てくるけれど、それを形にすることが苦手な子もいれば、書くことを通してであれば、自分の考えを主張できる子もいます。

相手の考え方やものの見方の違いを知り、それによって自分の考えが広がったり深まったりすることを実感することから始まり、コミュニティのメンバーそれぞれが活躍する場が広がっていく。そういうプロセスを自然に、そして何度も繰り返しながら辿っています。

 

 

以上の3点に加えて、探究の時間の中で、子どもたちが学級のためのプロジェクトを企画したり、自分たちが楽しむためのイベントを実施したりすることもあります。学年が上がるにつれて、授業とお楽しみを融合されることが上手くなっていくなぁと感心しています(笑)

 

みなさんは、何を目的として学級づくりをしていますか?