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2021夏 ブログマラソン④ 【概念型探究と子どもたちの変化】

このブログマラソンも折り返し地点です。今日は、概念型探究に取り組んだことによって子どもたちにもたらされた変化について見ていきましょう。これも、概念型探究だけが原因ではないと思いますが、印象に残っているエピソードTOP 10です。

 

  • とにかく、書く量が増える!年度のはじめには、振り返りジャーナルを4行書くのにも四苦八苦していた子たちが、1年が終わる頃にはA3サイズの振り返りシートにびっしり自分の考えを書くように。文章としては拙いこともありますが、表現したいことがどんどん溢れてくるようです。

 

  • そして、よくしゃべる!!ペアワークやグループワークでも、大抵の場合は設定した時間では足りません。学級全体での共有場面では、誰かの一言に触発されて新しい考えが浮かんできたり、あえて反対側から見た意見を言って見たり。お互いの発言を受けて次の発言が・・・というようにどんどん積み重なっていきます。ぼそっと聞こえてくる呟きが本質をついていて、みんなではっとするなんてことも。誰も正解をもっていないんだから、何を言っても大丈夫という安心感が大きいのかもしれません。

 

  • グループ編成に頓着しなくなる。探究では、グループで課題に取り組む機会がたくさんあります。年度半ばぐらいに差しかかると、そのグループのメンバー構成をあまり気にしなくなる子がぐんと増えます。誰とやるかよりも、何についてやるのか、どうやるのかの方が重要になるということかなと思って見ています。新しい顔ぶれの方がわくわく感が強いと言っていた子もいました。もちろん、そうは言っても、グループ活動中のもめごとは避けて通れませんが、それもプロセスだとわかっているようです。

 

  • ツッコミ名人になる。探究の時間の私の大きな役割の一つに、子どもたちの言うことにがんがんツッコミを入れるというものがあります。「なんで?」「と、いうと?」「〇〇とどう違うの?」「だから?」「他には?』「具体的には?」「つまり?」などなど、これでもかとツッコミます(笑)。習うより慣れろということなのでしょうか。月日が経つにつれ、私の出番はどんどん少なくなります。他の人の発言につっこめるようになると、いつのまにか自分自身にもツッコミが入れられるようになっていきます。そうなると、自分だけで、考えを広げたり深めたりすることができるようになります。

 

  • リフレクションの質が高くなる!!探究サイクルを自分で回していくには、振り返りが欠かせません。そこまでの学習の成果を振り返る。自分の課題について次の一手を考える。ある事柄について自分なりの解釈を整理するために、自分の考えや思いを客観的に見つめる。そのような活動の中で、ぐっと本質に迫ることができるようになります。自分で自分にツッコミを入れながら、自分と向き合っている様子が見られます。

 

  • 自分の興味や関心に引き寄せる力がアップ!以前にもお伝えしたように、概念型探究は構成的でもあるので、子どもたちから見ると、いつでも自分の好きなことを学習しているわけではありません。学年によっては、お題が上から降ってくることの方が自分で選択肢の中から選ぶよりもずっと多いです。だからこそ、与えられたトピックや問題と自分自身の興味や関心をつなげられるようになることが大きな鍵となります。抽象的な概念を取り扱うことが多いからか、子どもたちは一見目に見えないようなつながりを見つけ出したり、少し違った角度から見ることで新たな面に光を当てたりしています。少し無理やりにでも引き寄せる!そこから次の一歩が見えてくるのかもしれません。

 

  • 多角的に物事を見る力が養われる。ある概念や事象を立体的に捉えるためには、様々な角度から見たり、考えたりすることがとても重要です。自分一人ではなかなか難しいことも多いのですが、他の人との意見交流や、誰かに(何かに)なりきることから、良い刺激を得ているようです。探究では自分以外のものの見方や考え方に触れる機会がとても多く、また、批判的に物事を見ることをとても大事にしています。多角的に考えることができるからこそ、楽しんでディスカッションをしているのだと思います。

 

  • 「失敗から学ぶ」マインドセット以前にもお伝えしたように、探究を進めていくと上手くいくこともあれば、上手くいかないこともあります。一見すると、明らかに失敗したことでも、肝心なことはそこから何を学ぶかです。それがわかっている子は、必要以上に落ち込みません。細かいことに一喜一憂せずに、状況を分析している姿は頼もしくもあります。そこには、失敗を次に活かすことができるという自分自身への信頼も含まれているように感じます。

 

  • 見えないものを面白がれる。探究では、わからないことやはっきりしないこともたくさん出てきます。大人が解決できないような問題に取り組むこともあります。子どもたちにとっては、その壁はより大きく感じられることでしょう。それでも、探究を積み重ねてきた子どもたちは、見えない関係性を見つけ出そうと目を凝らしたり、難しくてよくわからないという状況を面白がったりしています。好奇心の感度を取り戻しているかのように、じっくりと周囲を観察しているのです。

 

  • 「無限ループ!!!」3年生の終わり頃、子どもたちが気づいたことを矢印を使って黒板にまとめていたら、ある男の子がそう叫びました。「探究には終わりがない!!」「私たちの成長にも終わりはないよね。」「完璧なんてなくて、より良くしていくことはいつでもできるんだね。」次々に、子どもたちが発した言葉。学びにはたくさんの無限ループがありますね。